ぽかんと開いた子どもの口 口呼吸の弊害
口呼吸は専門的には「こうこきゅう」と読みます。多くの方は「くちこきゅう」と読んでいると思います。私も普段は「くちこきゅう」と読んでいます。
口呼吸とは、「吸う息、吐く息のどちらか一方でも口から行う呼吸法」であり、私たちはそれに加えて「常時開口状態における口唇閉鎖不全(いわゆるポカン口)」も含めています。
鼻呼吸は、専門的には「びこきゅう」と読みます。「はなこきゅう」の方が一般的で聞きなれた言葉かもしれません。
■口呼吸と鼻呼吸、何が違うのでしょうか。
鼻呼吸は、鼻毛や扁桃組織がホコリや花粉、ウイルスなどの侵入を防ぐため、異物が取り込まれにくいです。また、鼻で呼吸することで外気が加温・加湿され、温かく湿った空気を肺に取り込むことができるメリットもあります。
一方、口呼吸は外気をそのまま取り込むため、異物やウイルスが直接侵入して、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるというデメリットがあります。また、いびきをかきやすくなり、睡眠時無呼吸症候群などを引き起こすリスクも高まります。
■口呼吸を続けると、どうなる?
鼻が詰まっている時などに口呼吸をして、お口の中や喉がカラカラに乾燥してしまったという経験は、誰にでもあるのではないでしょうか?
口呼吸をしていると、風邪やインフルエンザだけではなく、口内の乾燥によって細菌が繁殖しやすくなり、口臭やムシ歯、歯周病、ドライマウスの症状が現れることもあります。
そして、小さなお子さんを持つママパパにはぜひ知っておいてほしいことがあります。
実は、成長期に口呼吸が長期間続くと、お口周りの筋肉の発達や舌の機能に障害が生じて上あごの成長が抑制され、歯並びや噛みあわせが悪くなったり、咀嚼機能が低下してしまうおそれさえあるのです。
「アデノイド」と呼ばれる鼻からのどに移行するリンパ組織のかたまりの部分が肥大し、アデノイド顔貌(ボーっとした顔)となる傾向も見受けられます。
さらに、口呼吸は脳にも影響します。脳下垂体が吸気で充分冷却されないため、頭がボーっとし、集中力が低下します。
最近では、膠原病をはじめとする全身疾患にも、口呼吸が大きく関与すると考える医師もいます。 鹿島市民病院の斎藤勝剛院長によると「重症なぜんそく患者の8-9割が口呼吸している」との話です。
もしも、お子さんのお口がポカンと開いていたら、ぜひご相談ください。 きれいな歯並びも噛み合せも、しっかりした鼻呼吸なしでは作られません。 必ず口を閉じて咀嚼し、しっかりとした鼻呼吸を確立させましょう。
■口呼吸を行うことによる弊害
★口腔内乾燥→むし歯・歯周病の増加
★歯並びが悪くなる(開咬・上顎前突)
★咽頭部感染(風邪をひきやすい)
★口臭
★集中力がない
★アデノイド顔貌(ボーっとした顔)
★免疫システム機能不全(全身疾患)
★姿勢が悪くなる(自律神経失調に関与)